圧迫骨折した父。
ちゃんと決められた通りの薬を飲んでいるか、ちゃんと食べているか、コルセットははめているか・・・
朝、薬を飲んだか電話で確認したら、骨を作る薬(?)は飲んだようだった。
薬を飲んだら、横にならず30分はまっすぐ座るように医師からいわれていたが、ちゃんと座っているだろうか・・・。
電話すると、30回くらい鳴らさないと電話に出ない。
きっと電話を遠くに置いていて、ベッドから起き上がるまでに時間がかかっているのだろう。
ようやく電話に出た。
まだ入れ歯をはめてないのか、滑舌の悪い父。
「薬飲んだ?」
「ああ飲んだよ」
「それ飲んだら横になったらいけんって言われたよ、ちゃんと座っといてね、30分は」
「ああ、そうかね、よしよし」
医師からもらった骨を作る薬は飲んだようだった。
もうひとつ、食後に飲む薬に気がつくだろうか。
冷蔵庫にお薬カレンダーを貼ってポケットに入れておいたが・・・。
夕方、昨日作った煮魚と、豆苗と油揚げのお浸しを持って行った。
お薬カレンダーを見たら、やっぱり飲んでない(>_<)
「なん!飲んでないじゃんこれー」
「それも飲むんかいな」
「そうよ、そう思ってここに入れといたのに」
「今日は火曜日かねえ?」
「そうよ」
壁に貼ってある大きなカレンダーには日付にレ点の印をつけている父が、プチパニックを起こして日にちを間違えたようだった。
持って行った煮魚は片側だけ食べて残した。小さなげんちょうという魚。食べるほど身もないのに、白ご飯一杯と煮魚を片側だけ、豆苗のお浸しは豆苗が噛みにくくてあまり食べなかった。
明日はもう少し、しっかり噛まなくても栄養が取れるような物を持って行こう。
父はこんなに食べなかったかなあ
自宅でBBQをした時には、そう言えば、おにぎりも2つくらいで、お肉もさほど食べなかったかなあ・・・
前の年にBBQをした時には、おにぎりも4つ、お肉も結構食べたような気がしたけど・・・だんだん食が細くなってきたんだろうか・・・・。
こうしてだんだんと食べなくなるんだろうか。
昨日、父をたずねた時に、下着の上下のまま寝ていた。
「パジャマはどうしたの?」
「もう暑いからなあ」
私が持って行った夫が着なくなったパジャマは少し厚手で夏には不向きだったが夏のもあったはず。
見ると、夏のパジャマがよくここまで着てるなあと思うほど、ウエストのゴムは何度も変えて着たのか、皺が寄った所から穴が空いて、上着は背中のところが破れたていた。
今日、新しいパジャマを買って持って行ったが、
「何でそんな無駄な買い物をするんか」
と言うから、父に染み付いた根っからの貧乏性は、もう笑うしかない。
「こんなパジャマ着てたら、治る病気も治らんよ!」
そう言い聞かせて、破れたパジャマを半ば強制的にもぎとってきた。
「すまんなあ」「助かるなあ」
何度も何度も私にそう言う。
昨年のコロナが蔓延したくらいから、マンションでも、集いがなくなり、人と会わなくなって、なんだか父の老いが急速に進んだような気がした。
子供達が帰ってきても感染拡大地域からでは、なかなか訪ねることもできず、子供達も声くらい聞かせてあげたらいいのにと思のに、電話をかけてきたのは大学生の息子だけ。
どういうこと?
情けない。
元気なおじいちゃんはいつまででも元気な訳じゃない。
傍で見ているとひしひしと老いていく父の様子が伝わってきて、家族で過ごせる時間が短いことを気づかされ心が痛む。