あすみとモラハラ夫との13000日

毒親育ち モラハラ夫 エッセイブログ

ぞっとした素通り


モラハラ夫は自分が特別で、王様のように偉いと勘違いしている。

会社では多少は偉いかも知れない。
確かに800人の部下の頂点ではあるかも知れない。

でも、どうだろう。

一人の子供の父親としたら、子供に関わることは会社で偉かろうが関係ない。


今日は私がぞっとした話をしよう。


あれは、長男と次男が地域のサッカー教室に通っていたときのこと。

以前から他でサッカーはしていたのだが、マイホームを建てて、転校してから、近所の子供達に「こっちに変われよ」と誘われて地域のサッカー教室に行くことになった。

長男が3年生の時だったか。

もともと運動神経は良かった。また、少しサッカーをかじっていたということもあり、教室の中でもすぐに頭角を表し、5年生になると上級生のチームに交じって練習し、試合の控え選手として活躍をみせた。
どこもそうだと思うが、指導して下さっているのは
地元のサッカー好きのボランティアさんだ。

「あの人、私と高校で一緒だったのよ」
サッカーのママ友がそう言った。

監督は私と同じ歳。178センチと背がスラッと高くサッカーで鍛えた体は引き締まり、また、日焼けで浅黒かったが、目力のある彫りの深い顔は、若い頃、相当モテモテだっただろうなあと、誰しもが容易に想像できるイケメンだった。

この辺で一番の進学校に進みながら、家庭の事情で、大学進学を諦めざるを得なかった逸話は、サッカーのママ友の同情をも引き寄せた。

そんな監督はあっさりした人だった。
こんなイケメンだったら、何かとお誘いもあっただろうと思ったが、何しろものすごい気の強い奥様で、恐妻家を公言していた。




いつものとおり、水曜日、土曜日と小学校の校庭を借りてサッカーの練習をした。そして迎えに行く。
土曜日は朝からの練習で、お昼まで。
どこの家庭も家族でそのままお昼ご飯を食べにどこかへお出かけする家庭も多かった。

いつも迎えには私が行ったが、ある日、下の子もみんな一緒に、そのままご飯を食べにいこうと、夫のファミリーカーで学校まで、迎えに行った。

ところが、長男、飛馬のサッカーボールがなかなか見つからない。
練習しているうちに、校庭の溝に入りこんだりすることもしばしばあったので、みんなで校庭の隅や植え込みのなかを探しはじめた

「飛馬のサッカーボールが見つからないの、ちょっと一緒に探してくれない?」

車の運転席にいた夫にも声をかけて降りてもらった


夫と一緒に校庭を探す。朝礼台の側に監督とコーチが立っていた。だんだん近づいてきた。

「本当にすみません」

監督やコーチだって、子供達だって早く家に帰ってお昼を食べたいだろう。

そう私が言って夫と監督コーチの前を通り過ぎようとした時、

(まさか!)監督と私も目があった。私はぞっとした。

私の自分の中で弾けた(あり得ないまさか)モラハラ夫は目の前に立っていた監督とコーチの前を目をあわせることもなく、素通りしようとした。

変な沈黙 嫌な汗が出るような気がしたその時、
「小川さん、こんにちは」

監督が先に夫に挨拶をした。
「こんにちは」

夫は目をあわせることなくそう答えたまま、目の前を通りすぎて行った。

夫にわからないように、振り返って監督に(ごめんなさい)と軽く頭を下げた。

監督もコーチも、ボランティアで子供達にサッカーを教えてくれている。それに、飛馬は中心選手として、目をかけてもらい、特に可愛がってもらっている。
何故、「こんにちは いつもお世話になっています」の一言が言えないのだろう

サッカーのママ達の前ではニタニタ笑って喋り過ぎるくらいなのに。
家に帰ってから夫に言った。
「何でお世話になってますの一言が言えないのかねえ」
そうすると、
「こちらから挨拶なんかしなくていい奴だよ あいつは目つきが悪い」
と。






高学年になるとたびたびサッカーの試合があり、飛馬は活躍して頑張っていた。
でも、夫はあまり試合を見にはこなかった。

テレビゲームが全盛期だったこの頃、人とのコミュニケーション不足でひきこもりになったりする話題も事欠かない。
ちょっとした小競り合いや喧嘩、勝ち負けを通して心と体を鍛えることの大切さを、私はこのサッカーというスポーツを通して、子供達は学んだとそう思っている。

「何で試合見に来ないの?飛馬頑張ってるのに」
よそはみんなお父さん来てるよ」

そう言うと
「休みくらい休みませてくれよ 今さら知らない人達に挨拶したり、話をしたりしたくないよ」

それが夫の答えだった。

わからなくはなかったが、子供が可哀想だった。

珍しく試合を見にきた夫に、周りのママ友が話しかけた。
この団地で一番の美人ママも、子供のサッカーの試合を応援しにきていた。
「小川さん珍しいですね、飛馬くん、活躍してるからもっと見にきて、あげたら?」

そんなことを言われて鼻の下が長くなり、でれでれとママ友達とおしゃべりして上機嫌だった。



そして、ある日、監督が私に声をかけてきた。

「小川さん 小川さん」

「はい?」

「僕ねえ」

「もう、長く飛馬君とサッカーしてるけどね、飛馬君のお父さんと一度もしゃべったことないねえ」


それは、まだ一度も挨拶がないよ と言っているのだと 私には痛いほどよくわかっていた

何て返事をしたら良いのかわからなかった が、咄嗟に笑って答えた

「ごめんなさい 私の主人、女好きなんですぅ」

冗談で答えた。

監督も笑ってくれた。

私自身が申し訳なく思っていることを監督はよくわかっていた。

近所に住んでいる監督とは今も、スーパーなどで、ばったりあったりする。


「あいつがおった」

夫が「あいつ」と言えば、監督のことだった
「あいつは目つきが悪い」





夫は監督よりは歳も上で、2人の子供もお世話になったのに、自分のわからないサッカーというスポーツの分野で、監督、周りのママ達に注目されていることに、異常な嫉妬心を燃やしているだけなのだ。



モラハラ夫は年齢など、関係ない
いつも自分が話題の中心にいないと機嫌が悪くなる生き物なのだ。
自分より勝っている者には並々ならないライバル心を燃やす、小心者なのだ。