「別居しとるんですわ」
3人のお子さんと奥さんと幸せに暮らしているとばかり思っていた従弟はそう言った。
「奥さんの両親と同居やって・・・・ああ楽になった〜」
ぎゅーっとくくられた何かがほどけた感じだった。
くしくも私もモラハラ夫から逃れて次男とアパート暮らし。
気持ちが手に取るようにわかり、口をついて出た言葉が
「あああー良かったねえ、そりゃあ楽が1番、ストレスが1番いけん」
「私も別居よ」
と伝えようかと思ったが、抱えている問題は違っていそうだとあえて言わなかった。
幼い頃から継母に虐げられて、子供らしい感情を持つことのないまま、辛抱と我慢を重ねて、自分の気持ちに蓋をして生きてきたアダルトチルドレンは、究極まで(頑張らなくてな)(辛抱しなくては)と自分に厳しくなるらしい。
(合わせよう、)(自分が我慢すればなんとかなる)そんな気持ちを長く持ち続けると、ある時、心の中の何かがぷっつんと切れて、こんな行動になるらしい。
私も一緒だ。
結婚当初から奥さんのご両親と同居して、意見の食い違いからよく言い合いになっていたらしいが、どうもこうもならなくて、
「もう、いいわあ、俺が出て行くわあ」
と、その日のうちに荷物をまとめて家を出たらしい。
何か手にとるようにわかるから、それも可笑しくなる。
「いいんよ、我慢することはない、楽に生きなきゃ」
「ですよね~あああーほんとに楽になった~」
ただ、今まで同居でいらなかった家賃がいるようになり、副業で、仕事を終えると出前館の配達をはじめたらしい。
アダルトチルドレンは何かしら生き辛さをいつも抱えている。
長男が精神病と腎臓病を患っていたために両方の治療ができ、入院施設があるところという条件で探すと、市内では見つからなかったために、隣の県に移送されたらしい。
そのために、コロナ禍でもあるし、なかなか尋ねることができずにいて、この半年はほとんど会話をすることもなかったという。
亡くなった後はその場で荼毘に付し、お骨だけ持ち帰り、アパートに連れてきたらしい。
「納骨は?」
この前、37年ぶりに恩師に会いに行った時にお墓参りをしたが、亡くなった従弟は母が眠っている隣のお墓に入る予定のようだ。
それにしても、交通費も、お坊さんにお布施や、墓石の彫刻料など、お金がかかる。
「2月くらいになったらもう少しお金が貯まると思うんで、そのくらいには納骨してあげたいですね」
そんなことを聞くと、今までもっと何かできなかったのか考えてしまったが、何をしてあげるのがいいんだろう。
とりあえず少しばかりご香典を送ろうと思う。
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