友達の結婚式があるとかで、帰ってきた息子と自宅で晩御飯を食べてきた。
自宅に帰るのはほんとに気が重くなる、心臓がバクバクした。
とりあえず息子がいるからいいけど、3時間でアパートに戻ってきた。
祝儀袋がないというので、買いに行き、毛筆で住所や名前を書いた。
(袱紗を準備しなきゃ)
そう思いながら、前に長男に貸してから確かに戻してもらった、父の叙勲記念でもらった龍村織物の袱紗が見当たらなくなっていることを思いだした。
もう言うまい。
あれだけ探して無いのだから、もう夫がどっかに隠したか、捨てたか。
諦めて、他の袱紗を探すそうと、2階のクローゼットの和箪笥の引き出しを開けて、
他の袱紗を探していた。
すると、どうだろう。
思い当たるところを手当たり次第に探したのに無かった記念品の袱紗が桐の箱に入って収まっていたのだ。
(またか)
そう思った。
探し回って無かった袱紗。夫が知らん顔してもとに戻したのだ。
そう思った。
そう思ったから、もとからあったようなふりをして、テーブルの上の祝儀袋の側に置いて知らん顔をした。
そうすると案の定、モラハラ夫が反応した。
「その袱紗どうしたの?」
「上にあったよ」
モラハラ夫、袱紗なんか一切興味ないはずなのに、あれだけ探して無かった袱紗、
「もうっ!あったじゃーん!」
と私が大騒ぎするとでも思ったのかも知れないが、無表情でスルーしたので、絡もうと思ったのに肩透かしを食わされた風だった。
こんな事、一緒に暮している時に何回も何度もあった。探しものばかりしていた。
その度にエネルギーを消耗し、モラハラ夫のせいで、時間をも支配された。
息子と3人でご飯を食べている時には、こんな平和な時間も確かにあったのにと、考えさせられたが、私がアパートで暮していることも、もう子供なりに理解してくれているようで、有り難かった。
私の一方的な努力だけではどうにもならないモラハラ夫との暮し。
これで良かったのだ。
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