この間から私がいい言いだしっぺの同窓会・・・
みんな気持ちは一緒、30年ぶりの集まりになるんだもんね
『えええ~会いたい!』
って気持ちの人が多いけど、親御さんの介護や、学校にお勤めの人はコロナ禍で授業日数が減り「この夏は無理・・・」など、やはりそれが許されない状況の人も多いみたいで・・・
『会いたい』
気持ちばかりで、実際はそんな状況は許されない?
慎重論が出ている。
やっぱり無理な計画だったろうか・・・
そんな中、何度 北川くんとメールのやり取りをしたことだろう
ただのメールなのに、女子高生みたいにはしゃいで、思わずニヤニヤしてしまう。
夫に気づかれないようにするのに、へんに口をへの字にしたりして、吹き出しそうになる。
農学博士と名前で検索したらすぐに顔写真とアドレスを見つけたが、彼もあれから30年以上人生を歩み、昔の面影を残しながらも、髪は薄くなり、太って貫禄がついている。
「会ったらがっかりするんじゃない?」
実家に電話を入れてから連絡がつくようになったゆみ子からも、会えなかった時間を取り戻すように、何十回とメールのやりとりと、電話での恋話に花が咲いて、なかなか話しが前に進まなかった。
「そうだろか、いや、みんな歳をとるのは一緒だもん」
ゆみ子はあの時、北川くんが連れてきた後輩のことが気になっていたのだ。
「あの人、元気にしてる?あの人呼んでよ」
北川が連れてきた後輩の学生も、
「今は国の研究所の幹部ですよ♪去年仕事でご一緒しましたから」
と北川くんからのメールが届いていたのだった。
可愛い子だなと思ったが、北川くんからそう、話しを聞いて、ネット検索したら、あの大学1年生の時のまんまの顔写真が出てきて、思わず
「見つけたよ♪」
とゆみ子に知らせたのだった。
「ほらあ~やっぱり、この子のほうが良かったじゃない~私は見る目があったのよお~結婚してるかしらあ」
「50過ぎてるからね・・・」
写真はとても50を過ぎているようには見えなかった。髪は黒々して少しウェーブがかかり、当時は分厚いメガネをかけていたからあまり、気がつかなかった目元も、彫りが深くて、風貌は変わらずそのまま歳をとったふうだった。
正直、その時、彼が独身だったら良いのにな と思った。
「会おう会おう!あすみ、東京おいでよ!」
「4人で会おう!4人ならいいじゃん」
もし、彼が研究や仕事に没頭し、婚期を逃してここまで、やってきたと仮定したら、ゆみ子との再会はひょっとしたらひょっとするかも知れない・・・
東京でゆみ子や北川くんと再会したら・・・
楽しく盛り上がるだろうなあ・・・
そんな想像をするだけでも、楽しかった。
いつもはお化粧品や、雑誌しか探さないメルカリアプリで、
(もし、東京に行くことになったら着ていく洋服がいるわ♪)
と、綺麗系のワンピースなど、検索するだけでも、とても気分が上がった。
ああ~でも、東京はいつまた緊急事態宣言が出されるかわからない。
ゆみ子に急かされるまま、東京への旅行を漠然と考えるのだった。