お見合いをした後に、北川くんから何度か電話をもらった。
教会で由里からこんなことを聞かされて、あんまりいい気分じゃなかったのに、
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私はそのことを知らないと思ったのかな。
別に今度 また会おうね でもないし、世間話をして終わる電話。
また母が耳をそばだてて聞いている。
留学に向けてお金を貯めようとしているのと、教会の北川くんの存在を知って、次々とお見合いの話をしだしたのだ。
世間話でも北川くんと喋るのは、楽しかったし、私はやっぱり、北川くんが好きなんだと思った。
お見合い相手には悪いけど、最初から乗り気でない、親が勝手に決めたお見合い。
言われたらその時に、はっきり事情を伝えてお断りしよう。そう考えていた。
カナダから2年の留学を終えてゆみ子が帰ってきた。
はち切れんばかりの明るいポジティブなゆみ子は、男性とも物怖じせずに対等に喋れるバランス感覚の高い人。
英会話にも磨きがかかり、教会に来ていた外国人英語講師と流暢な英語で会話をしていた。
何か悩みがあると、慶子さんとはまた違った見方で、意見を言う、そんなゆみ子を私は頼りにしていた。慶子がカリフォルニアに留学中。
こんなときに、カナダから帰ってくれて本当に嬉しかった。
ゆみ子に夏からの北川くんとのこと
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気の進まないお見合いをしたことも伝えてみた。
「どう思う?」
「淋しいだけなんじゃない?あすみはひとり暮らしの経験がないからわからないかも知れないけど、ひとりって淋しいのよ、誰でもいいから喋りたいって気になるのよ」
妙に説得力のあるゆみ子の意見にあんまりいい気分はしなかった。
「北川くん、ちょっと卑怯よね」
「卑怯?」
「自分の気持ちもよくわからないのに、ただ淋しいだけであすみのこと誘ったり、電話かけてきたり、ちょっと甘いんじゃない?」
ゆみ子はそう一刀両断した。
「お見合い相手はどうだったの?」
「まあ、ふつうに感じは良かったけどね それだけ」
「今度 教会のバザーに連れてきたら?どんな人か見てあげるよ」
今度の連休に帰るから会いましょうって言ってたお見合い相手。
私が高校生の時から行ってる教会という場所で、違和感なく話ができるんだろうか・・・
気に入らなければ断ってもらったら話も早い。
ちょっと意地悪く、教会のバザーに誘ってみた。