その口の先に鋭い刃を持つ大原さん、その彼女の刃によって無惨にも心臓をひとつきされてから、ポタポタ流れ落ちていた血はいつのまにか止まったように思えた。
あれから30年の間に、母親と何かある度に、心に刺さったあの古傷が痛みだしていた。
社宅にいた頃、大原さんは、部屋に遊びに来ては、
自分がどれだけこだわりのお嫁入り道具や高い家電製品を揃えたかを自慢気に話した。
彼女は『お嬢様』という言葉にすごくすごく執着していて・・・
他人より、自分がどれだけすごいか・・・
自分は他人から見上げられるようなひとかどの人間のように思われたい強い願望があったように思う。
例えば、ただの家電製品
私は幼い時から欲しいものは1年に1度。洋服も祖母がお正月前に買ってくれる洋服の他は兄やからだの大きな子のお下がりばかり。
社会人になってからは、働いたお金を『生活費』と言われて母に搾取されていたので、
母の究極のマネハラ - あすみとモラハラ夫との卒婚生活
結婚で沢山の買い物をしただけで、もう十分に満足していたのだと思う。
私はメカ音痴なので、家電製品の性能云々もよくわからなかったし・・・
だから、電子レンジや、炊飯器なども、シンプルでコンパクトなものを買ったと思います。母から「結納金で収まるように買いなさい!」と言われていたし。
彼女は社宅に遊びに来た時、そんな家電製品を見て
「こんな温めるだけのこんなレンジじゃあ、いろいろ作れないじゃない、私が持ってきたのは最新の機能がついていて、茶碗蒸しなんかも、センサー機能で全部レンジ1台で作るようになってるのよ」
と自慢気に話しました。
(へえ~そんなんがあるんだ)とは思いましたが、家電品にあまり興味はありません。
たぶんこんな薄い反応が彼女には気に入らなかったのかも知れません。
またあるときは「喪服はどうしてるの?見せて」というので、母お下がりの黒いワンピースをタンスから出して見せると
「こんな薄い生地じゃあ、冬はどうするのよ」
と、言われました。
「私は真冬のお葬式でも大丈夫なように、母がステンカラーのコートをちゃんと買ってくれたのよ
真冬に寒そうにワンピースやスーツだけの人を見てみっともないって言ってね 真珠はネックレスとイヤリングのミキモトのセットを買ったの」
(へえ~そうなんだ)
いろいろ知ってる彼女のいうことに(へえ~)と思うだけで、特に他は感じませんでした。
またあるときは、自分の旦那さんの自慢を話しはじめました。
「ほんとは京都大学に入れてたのに、英語が大の苦手で、英語さえ点がとれていたら、うちの主人は京都大学のレベルなのよ」
私はこの手の話しが好きではありません。
どこまで嘘かほんとかわからない話にまた
(へえ~)ぐらいの反応で返したんだと思います。
彼女は私の反応の鈍さにだんだんイライラを募らせていたのかも知れません。
社宅を離れてマンションで暮らすようになってからも、また今住んでる県外の土地から、連休を利用して子供を連れて遊びに遊びに行ったこともあります。
去年は子供の手か離れたので、社宅で仲良くなった奥さんと一緒に旅行にも行きました。
その度に、
「社宅で急に大原さんとしゃべらなくなった時があったよね?あの時 大原さんに何を言われたの?」
とみんなから何回も何度も問われましたが、
パンドラの箱 彼女の放った猛毒 - あすみとモラハラ夫との卒婚生活
私はあまりの酷さに・・・また希望を抱いていたのに社宅での嫌な思い出が甦り口にすることができませんでした。
それは大原さんだけのことではなく、母との惨めな関係性を吐露することになり、自分で自分を苦しめることになると感じていたからだと思います。
でも今こうしてブログに綴れるのは、彼女が言っていたことはあながち間違いではなかったかな と思えるようになったからです。
結婚してからも、それまでもですが、母からの愛情を感じることはなかったです。
4人の子供たちは好きみたいでしたから、それがせめてもの救いです。
「へんなお母さん!」
と彼女が吐き捨てた言葉は当たっていたということです。
それに「私の主人は京都大学に入れてたのよ」というのも嘘ではなかったのでしょう。
2人の子供さんが優秀らしくて、娘さんは超難関大学を出て医師になったと、去年、一緒に旅行した友達に聞きました。
子供さんが小さい頃から英語教室だのいろいろ習い事をさせて、中高一貫のお嬢様学校に娘さんを入れるためにわざわざ近くに引っ越ししたと言ってました。
彼女は『お嬢様』にすごくこだわっていました。
何かコンプレックスでもあるのかなと思うほどです。
私の『お嬢様』像は教会で知り合った慶子さんです。
そして歳はとっているけどお義母さんかな。
ほんとの『お嬢様』は心が安定していて、いつも穏やか
人のあら探しなんかしないし、良いところを見つけて褒めようとする。
身につけるものや持ち物にはさほど興味はないのに、自分のスキルアップには一生懸命で、それを誰かの役にたてたら と考えている。
歯並びの悪い私を見てお義母さんは
「そんなこと思いなさんな、あすみさんはとっても笑顔がいいんだから、笑ってなさい」と・・・