通信簿と言う言い方はちょっと古い。
若い人には『通知表』と伝えた方がわかりやすいかも知れない。
お店には無人の最新式の支払いレジが導入されている。最近ではわりとどこででも見ることができる。
カード支払い、スマホ決済、現金。
私もよく、利用しているし、若い方はスマホで難なくピッと支払いしている。
今日見かけたのは、歳老いた母と息子の2人連れだった。
支払機を前に鞄の中の財布を探す母親に、息子が憤っている。
「早うせんかい!」
「さっさとしろよ!」
「みんな待っとるじゃないか!迷惑な!」
後ろには何人か並んではいたが、見た限り、そんなにいらいら怒っている風には見受けられなかったが、息子はたたみかけるように年老いた母親を急かした。
その大きな罵る声に、きっと周りの人は(もっと優しく言ってあげたらいいのに・・・)
そう思いながら見ていたに違いない。
「いいですよ、急がなくても、ゆっくり探してください」
そう、声をかけた。
息子さんもいい年だった。
身なりもいい。パリッとした背広はきっとどこかの会社の偉い人かも知れなかった。
私がそう声をかけると、
「まったく!いつもトロトロしよって!」
とぶつぶつぶつぶつ 機嫌が悪かった。
その間もばつが悪そうに年老いた母親は、杖を股に挟んでバッグの中の財布を探しているのだった。
ようやく財布を出して支払いを済ませると、レシートをくしゃくしゃにたたんで持っていたバッグに突っ込むと、よろよろと杖をつきながら、息子と帰っていったが・・・。
その後ろ姿は、脳梗塞かなんか患ったのだろうか、少しふらふらしていた。息子さんも手をかしてあげればいいのに、ずっとぶつぶつ言っていた。
(可哀想に・・・)
と思ったが、
『親が育てたように子は育つ』
きっと息子さんが幼い子供の頃に母親が
「早くしなさい!」
「何をトロトロしてるの!」
「さっさとしなさい!」
何かをしようとすると、そうたたみかけるように叱っていたのかも知れない。
『老後は育児の通信簿』
自分の子育ての成果が老後にやってくるのだ。
愛情をかけたなら、我が子もそのように愛情をかけてくれる。
そうでなければ・・・
なんだかゾッとする。
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