引っ越しの前日に「やっぱり持ちだそう」と段ボール箱に詰めて持ってきた着物類が、押し入れに入れっぱなしにしていたのがとても気になっていた。
メルカリで簡易的な桐箪笥を買い、やっと着物の整理にたどり着いた。
1枚1枚、検品のつもりでたとう紙を開いたら、辺りにほのかな香の薫りが漂い、開いた着物を纏った時のことが思い出されて暫し時が止まり、想いを馳せた。
華やかで可愛い着物や帯が好きで、よく袖を通したが、さすがにこの歳では着られないだろうと思ったものは、フリマアプリを利用して買ってもらい、実家から持って帰った実母の着物も、バイセルに頼んで1度に処分した。
作家ものの染め帯などは
「これなんか、高く売れるんじゃないですか?」
と、息子と同い年の社員さんがそう言ってくれたが、とにかく片付けたかったので、いっぺんに持って行ってくれる方が良かった。
たくさんでなくていい。
気に入った物を吟味して少しずつ持つ。
とは言え、着物は春夏秋冬 決まりごとが多い。
素材も柄も、季を逃すと野暮になる。
それこそが着物の醍醐味。
さっさと片付ければいいのに、久しぶりに見た着物に、心が躍り、まだ締めてない染め帯を置いて、コーディネイト大会が始まった。
少し黄みがかった水縹色は、カーテン越しに射し込むやわらかな陽射しにいち早く春の訪れを感じさせた。
こんな豊かな時間も、ひとり暮らしだから実現できたこと。
北側に置いてある桐箪笥に早くしまわないといけない。
北側の部屋には照明をつけていない。
お昼前から始めた着物の整理はコーディネイト大会をして楽しんでいるうちに、すっかり日が傾いてしまった。
入りきらなかった着物と帯を仕方なく箪笥の上に乗せた。
それに整理しているうちにまだ、自宅に置いたままの着物があることに気がついた。
明日にでも覗いて確かめて来よう。
この、簡易的な和箪笥に入るだけ。
増やさないようにして、もう少し吟味して若い感じの物は、またメルカリで出品してみようと思う。
相応しい物が見つかったなら、こちらが求めずとも、向こうからやって来そうな・・・そんな気がしている。
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