日曜日の昼にマンションに住む実父を訪ねた。
1週間に1、2度マンションにお惣菜わやお味噌汁を持っていくようにしているが、先週はいろいろあって
1度も訪ねてなかったんだと父に言われて気がついた。
「なんか、変わったことでもあったんじゃあなかろうかと思ってな」
父には心配をかけたくない。
父は現役の時には真面目な公務員で、母から月に5000円程度のお小遣いしかもらわないのに、余程のことがない限り不平不満も言わず、家族のためによく働いた。
船に乗っていたこともあり、身の周りのことは洗濯からアイロンかけから、食事の仕度はレパートリーこそ少ないが92才にして全部できる。
1日の起床、散歩、買い物、日課を決めて規律正しく生活している。
贅沢を嫌い、自分で洋服など買わないし、下着の類いまで、破れても自分で繕いなおし着る。
「買ってあげようか?」
と聞くと、「いやいや上等だ、勿体ない」と断るから始末におえない。
最小限の身の周りのもの、粗食、7.5畳のリビング兼寝室は驚くほど、物も少なく、タンスの類いもない。
父は究極のミニマリストだ。
大きな窓からは海が見え、太陽の陽が燦々とさしこみ、
「ああ、健康で、こんな眺めのいいところに住めてわしは幸せじゃ」
と言う。
美しかった母に先立たれて寂しいかも知れないが、父は今のこの暮らしを満喫しているように思う。
父は家族のために一生懸命働いた。
「眠るように死にたいなあ」
「まあ、そう言わないで長生きしてね」
父には心配をかけたくない。
幸せに余生を送ってほしい。
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