晩御飯を作りに自宅に帰った。
今日は、この前、息子の単位取得の知らせを聞いてたからか、ご機嫌だった。
今日みたいにご機嫌だったら、普通に話しもできるし、それにこの場に子供の誰かでもいれば、ごく普通の家族っぽくなるのに・・・
そう思うと、アパート暮らしをしている私が悪者に見える。
いや、もうそういう風に考えるのは止めよう。
アパートに越してきてから、いろんなことが好転している。何より気持ちが休まる。それが1番。
ゆっくり寝られるようになった。
もう、夜中に不安を憶えて何度も目が覚めることはないし、好きなテレビも見られる。
見ている途中で勝手にチャンネルを変えられることもない。
ヌルヌルしたお風呂に入ることもない。
洗濯物が黒い粉で汚れることもない。
たくさんおかずを並べなくても誰からも文句を言われない。
夕食の買い物の時も、心臓がバクバクすることもない。
ソファに横座りしても、寝そべっても誰からも文句を言われない。
週末にサンドイッチ作りに追われることもない。
家族っていったい何だろう。
毎日気持ちが摩りきれそうになりながら生活していた。
年齢が上がったらきっと良くなる。定年したらきっと大丈夫。
根拠のない理想を掲げて、(ここを乗り越えたら)(ここを辛抱したら)
でも、何も積み上げられなかった。
「自分のことを考えた方がいいですよ」
知り合いの先生が、そうアドバイスをくれた。
罪悪感はいまだつきまとうこともあるけど、自宅で夫と暮らしていた時よりも、不思議と孤独ではなくなった。
やっぱりこれが普通な感覚だ。
自分が『楽しい』ことに向かおう。
『笑う』ことに向かおう。