いつも顔をみると話かけてくる年配のおば様、今日も元気な様子でお喋り。
「2人の娘が塾も行かずに国立大学へ合格した!」
と言うのがこのおば様のプチ自慢。
ぱっと見た感じ、70歳くらいに見えるから、きっと娘さんも50歳近いだろう
「国立大学に合格した!」のは近年のことではないだろうに、このタイプの人はきっといくつになってもその話を持ちだして自慢気に話したい人。
一応、お客様なので、
「あらすごいですねえ」
「ご立派ですねえ」
と言っておく。やれやれ
「あなた、ちょっと細くなったんじゃない?」
そういえば、朝抜きダイエットをはじめてからちょうど1年だった。
ひところ、いちごサンドにはまってお休みの日に食べていたら、3キロ増えていたので、減量は5.5キロ、痩せたのは正味2.5キロというところ。
「ああ、朝抜いてるんです。忙しくて食べられなくて」
「あら、朝は食べなきゃだめよ、何時に起きるの?」
「6時です」
「私は朝、4時半に起きるけどね」
朝4時なんて、なんか勉強でもしてるんだろうかと思ったので、
「何でそんなに早く起きるんですか?」
と聞いたら、ご主人さんにもたせるお弁当を作っているらしい。
聞いたら、なんか偉い人みたいで、70過ぎても会社に行っているらしい。会長職かなんかだろうか
「それはご活躍ですね、奥様助かりますねえ」
そういうと、いやいやと顔の前で手を振り、
「これがおってな」
と、小指をピンと立てて
「この前、大喧嘩したんよ、うるさいっ!って言ってお膳をパーンとひっくり返してな、殴る蹴るでな」
「ええっ!それDVじゃないですか」
そういうと、おば様は何のことかわからないみたいでキョトンとした。尚も続けて
「そんなことするんなら、警察呼ぶよ!って言ったら『呼べやーいいじゃん』って言うから110番してやったら、警察がすぐ来たんよ、6人来たね、」
なんか、話しの内容が尋常じゃあなかった。
「次々家の中の物が無くなるんよ、オーダーの洋服やらな、16万したんよ、高かったのに!」
「えっ?盗みに入ってるってことですか?」
「いやあ~うちのがオンナに持っていきよるわけよ」
「ええっ、何か嫌ですねえ、何でそんな人と結婚したんですか?」
私も今の自分におきかえて、グイグイ聞いてしまった。
「結婚まえはねえ、すっごい優しかったの、あああ、私、こんな優しい人と結婚できるなんてなんて幸せなんやろ、そう思ってたんよ、ところが大違い」
尚も続けて
「チビでな太って、頭も薄いし、友達に聞いたらな、そんな人もてんし、絶対浮気せえへんから、結婚しぃ言うて、私もそうやなあと思うてな、結婚したけど、ほんまこんなんなると思わんかったわあ」
そこまで、話たところで、他のお客様に用事を言われて「またな」とお喋りは終わった。
殴る蹴るなんて立派な犯罪。ドメスティックバイオレンスじゃないかと思いながら聞いていたけど、本人は夫婦喧嘩と思っている。
私が言った『DV』と言う意味もわからない風だった。
DVと言う言葉は浸透していると思っていたのに、年配者は知らない風、モラハラになると、認知度はもっと低いだろう。
話を聞きながら、本人に離婚するという考えが全く無さそうだったのが不思議に思えたが、昔の人間は、離婚するという概念すらないのかも知れない。
どんな伴侶と一緒になるかで、大きく異なる女性の幸せ。
もう、自分のことはいいけど、娘には結婚して幸せと実感してもらいたいなあと思う。