あすみとモラハラ夫との13000日

毒親育ち モラハラ夫 エッセイブログ

思うようにならない未来予想図


都会の大学に行った教会の上級生達は夏休みやお正月休みには帰ってきた。

男子学生は少しだけかっこよくなって帰ってきたし、女子はお化粧もしだしてなんだか垢抜けて帰ってきた。あの美しい慶子さんも。

黒っぽい地味なお洋服ばかり着ていた慶子さんが、お化粧をして、あざやかな色のワンピースで現れた時には、大輪の花が咲いたように、いっきに華やかになった。

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洗練されて、より一層美しくなった慶子を見ていると、都会に行ったらこんなになるんだと、とても羨ましくなった。

「おかえり~久しぶり♪」
「よく帰ってきたね~」
と、みんなが帰ってくるといっきに盛り上がる。


都会の大学に行ったら、陽射しが降り注ぐ大きな窓のあるカフェテリアで、学生同士がレポートを確認しあったり、通り沿いのお洒落なお店で休みの予定を計画したりするんだろうなあ
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地元の短大に通う私は、相変わらず。

歩いたら小一時間かかる短大まで、

「歩いて行きなさい!」

と、交通費節約で、バス代 を出してもらえず、裏山から近道で行く。

通りに面した大きな病院の裏手には、一体何を燃やしているんだか、ごみ集積所の焼却炉から異様な匂いが漂い、いつもそこを通るときには、駈け足で通りすぎた。
もう少しあるくと、両側に無数のお墓が立っている墓地。
真ん中を通りすぎ、やっと長屋の民家が見えて、人の気配を感じてほっとする。

地元で1番 荒れているという中学校、錆びたサッカーゴールに破れた網がかけられた第二運動場の横を通りすぎると、やっと市の体育館が見えてくる。

変わった形の屋根の体育館。
昔、子供がよじ登って屋根から落ちて亡くなってから登れないように柵を張り巡らしている。

その柵を横目に見ながらやがて学校に到着する。
近道だと40分くらいか。

その間、お店など一軒もないし、お洒落なカフェなどあろうはずがない。

学食は狭くて、角にある蛍光灯がチカチカしたまま。
学校で出会う人は、高校から持ち上がりの知った顔ばかりで、(自分は本当は何をしたかったのかな)
と、時々思い巡らしていた。



学校が終わると喫茶店でお皿洗いのアルバイト。

高校のうちはアルバイトは禁止。家でも、お小遣いをあまりもらえてなかったので、アルバイト料が入ったら、それまで自由に買えなかったお洋服を買ったり、夏休みや春休みを利用して都会の大学でたのしんでいる上級生や友達に会いに旅行をした。
みんなたくさんの人に出会い、いろんなものを見て楽しそうだった。
私はなんだかつまらなかった。



2年なんて、あっという間。
すぐに就職活動をしなければならない。
折しも就職難と言われた時期で、早い人は10月の始めに決まったが、私はエントリーさえ二の足を踏んでいた。
「高校から短大に行くの!短大卒業したらきちんと働いて家にお金を入れるのよ!」

何度も何度も繰り返しそう言われていた。

私は何をしたいのかよくわからなかった。けど、それは、都会の有名大学に行った上級生達も一緒だったんだと思う。


短大卒業ギリギリで私は金融会社に内定が決まったが、大学を卒業して地元に帰ってきた慶子さんは浮かない顔をしていた。

教会で、就職の話しになると慶子さんはそれとなくその場を離れたりして、なんだか就職の話しはタブーな雰囲気。
マスコミ関係の仕事につくために努力を重ねてきたはずの慶子さん。
頭も良くて美人だけど、都会には、小さい時から海外生活のバイリンガルや、ミスコンみたいなタイトルを取った人もいる。


慶子さんはちょっと疲れて帰ってきていた。