私が幼い頃、一緒に遊んでいたひとつ上の真理ちゃんとの思い出を綴っています。
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ひとつ上の真理ちゃんが、知らない間に引っ越ししてから、遊びに行ったのは、真理ちゃんのお家の裏山に筍を掘りに行った、その一度だけでした。
家からは遠いせいもあり、だんだん疎遠になってしまったのは、しょうがないかなと思いました。
年賀状くらいはやりとりしてたでしょうか
今みたいに、両方のお母さんが車を運転するわけではないし、行ったり来たりも出来ず、
母も、引っ越しを期に真理ちゃんのおばちゃんとは
疎遠になっていたのかも知れませんね
伝え聞いたのは、専門的なピアノ先生について、音大を目指して練習しているということでした。
音楽を生業にしている人は例外なく、みんなそうだと思いますが、月に一度は、東京へ行き、ホテルステイ、土曜日と日曜日、それぞれレッスンしてもらい、モチベーションをあげるために、親はレッスンのご褒美として、ホテルでお洒落なディナーをご馳走したり、表参道の方へでかけたり・・・
真理ちゃんところも、1ヶ月に1度、母娘して新幹線に乗って東京までレッスンに通っていたそうです。
レッスン代やホテル代含めて、月に20万円かかったと聞いています。
そんな真理ちゃんと再びあったのは、高校に上がってからのことでした。
普通科の他に音楽科が併設されており、精鋭30人が有名な音大目指して勉強しています。
楽典やソルフェージュ、カリキュラムも特別で、ピアノレッスン室なる、防音設備のある教室で授業を受けたりするので、学年の違う音楽科の人を見ることはほとんどないし、真理ちゃんが音楽科に行ってると伝え聞いても、生徒数も多いし、あれからずいぶん年月も過ぎ、いつかすれ違うこともあるかも知れないなあ、くらいのことでした。
ある日、ステンドグラスが嵌め込まれた中庭側の下り廊下を数人の友達と降りてくる真理ちゃんを見つけました。
(あ!)
気がついた時に思わず
「真理ちゃん!」
と手を振りました。
「あ、あすみちゃん」
と、手を振り返してくれて、そのままみんなと下っていきました。
久しぶりに見かけた真理ちゃんは、もう真理さんの呼び方の方がふさわしく、洗練された少し大人のお姉さんになっていて、周りの取り巻きに囲まれていた真理ちゃんに「真理ちゃん」と声をかけてはいけなかったなと後になって思ったことです。
月に1度、東京に行き、音大を目指して勉強している真理ちゃん。
肩に長くかかる髪はゆるくカールしていて、色白の真理ちゃんは、あの時、太陽の光でキラキラしたドレスを着たスカーレットちゃんよりも、一層、輝いているようでした。
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