夫が洗面所の前で、髪を整えながらいう。
「昨日、直也から夜中に電話がかかってきてねえ」
どうしたんだろうか、怪我でもしたんだろうか、熱でも出たんだろうかと一瞬思った。
息子はコロナ禍で、就活中。
1流企業にエントリーしたら、たまたま引っ掛かり、研修に出てみないかと声がかかり、トントン拍子で研修に参加。
ところが、周りの学生達のレベルが高すぎて自分の程度を思い知ったらしい。
お金がなくなった、みたいな相談は私にしてくる息子だけど、就職の相談は夫。
この前から夫に何度か電話がかかっていた。聞くとはなしに電話の内容を聞いていると、夫は企業人として、様々なアドバイスをして、なんとか息子が研修を終えたらしい。
昨日はその最終日だったのだろう。
「今まで、お父さんのことは特に何とも思わんかったけど、今回 研修に出て、お父さんって凄い人やったんやなあってはじめてわかったよ、尊敬するわ」
夫は嬉しそうだった。
夫は外では、頭も低く穏やか。誰が見ても、「本当にいいご主人」
と、言われてきた。
息子もコロナ禍の中、厳しい就活を経験して、あらためて企業人として勤めてきた夫に、尊敬の念を新たにしたのだろう。
だからこそ、私は残念でならない。
4人の子供達は、私達夫婦がとても仲の良い両親と思っている。
私だって、コロコロ機嫌の変わる夫をかわしてここまでやってきた。
世間では、私が夫の悩みをこぼしたところで、
「あなたもいけなかったんじゃないの?」
お姑には
「仕事をしているのよ?もっと思いやりを持ってあげてちょうだいよ」
と言われるだけだった。
(私がいけないのかな)(私の努力が足りないのかな)
そんなことを考えながらここまで来てしまったが
「大学の学費はおまえが払え!」
これにはもう、私の努力で果たせることではなく、今から残された人生も、きっとこんな風に、無理難題をぶつけてくるんだろうなと思ったら、疑心暗鬼でいっぱいになってしまった。
でも、夫は機嫌がコロコロ変わる。
良いときは本当に穏やかで知識も豊富で話していても面白いが、一旦不機嫌モードになると、恐ろしく激昂する。
尊敬しているお父さんのことを、何があるかわからないとブログに綴っていることを知ったら、子供達は悲しむかも知れないし、私のことも信じられないと、嫌いになってしまうかも知れないなあ。
その時は心から子供達に謝ろう
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