NHK名古屋放送局の制作だったような気がする。再放送かも知れない。
何とは無しにチャンネルを変えていると、【おひとりさま】という題が気になり、そのまま持っていたチャンネルを置いた。
今、癌と戦っているおひとりさまのママ友のことと、また、10年以上会ってない実兄のことを思い浮かべていた。
スポットを当てられたのは2人。
余命2ヶ月と宣告された90歳のおじいさんは、8年前に奥さんを亡くされてひとり暮らし。
2人の娘さんがいるが、遠くにいたりで、父親の身の回りの世話ができない。
東海地方のどこかは見落としたが、そんなおひとりさまを支えるために、医師、看護師、薬剤師、ケアマネ、ヘルパーさん、とチー厶を組んで見守りしている。
末期癌を宣告されたおじいさんは、仏壇の奥さんの遺影に手を合せて、「娘の負担になってるんじゃないかと思うと早く死んだ方がいいんじゃないかと・・・」そう言って涙を流した。
誰でもやがて死は訪れる。
それが早いか遅いか、おにぎりを作り、お皿に乗せて父親に持っていくと、おじいさんは食べられなかったが、横たわったベッドの上で、笑顔を見せて喜んだ。
娘さんは母親の死に間に合わなかったことを悔やみ、「父にも同じようになるんじゃないかとどうしていいかわからない」と医師に伝えると、医師から重みのある言葉が返ってきた。
「いつ死ぬかわからないのをずっと傍にいて待ってるわけにはいかないし、お父さん、傍で見ている娘の顔を見ても喜ばないよ。大事になことは、話せる時に、会話ができる時に、感謝していることをたくさん伝えることだよ」と。
もうひとりは78歳。やはり末期の癌でひとり暮らしの男性。
部屋はゴミが散乱していた。
何年か前に脳梗塞を患い、右手しか使えない。
それでも福祉事業所に出向いて仕事をし、僅かなお給料をもらっていた。
かかりつけ医のドクターが残り僅かな人生に、何か気になることはないかと要望を聞き出すと、もう10年以上会ってない息子と娘に会いたいと伝えた。
どうしたら、実の子と10年以上もあえない、どこにいるかもわからない状況になるのだろう。
でも、私も10年以上兄には会ってない。
兄自身、社交的な人間ではなかったし、一つ屋根の下、兄は愛玩子、私は搾取子として育てられ、家族団らんもあまりなかったし、家族でどこかに出かけることもなく、私は家に安住を見いだせない時に、友達に誘われて行った基督教会だけが、癒やされる場所だった。
そんな風で兄とも話をすることはなかった。
ひとりベッドに横たわる老人を見ると、兄の姿と重なった。
老人は子供達に会えないまま、息をひきとった。
病気になったら誰か世話をしてくれる人はいるのだろうか・・・。
父も、人生の幕を下ろそうとする時、兄に会いたいと思うのではなかろうか。
毎日、晩御飯を持っていく娘の私に遠慮して言い出せないのではなかろうか・・・
そんなことを深く考えて、眠れなくなった。
生きている間に、たくさんの感謝を伝え、たくさんの思いを伝えること。
本当。
それしかない。
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