夕刻、テレビで『セルフネグレクト』を取り上げ放送していた。
セルフネグレクトとは、自分で自分の生活を放棄すること。
ある男性はアパートで独り暮らしをしていたが、ある時から家賃の滞納が続き、大家さんの了解を得てから清掃会社が入ると、部屋はゴミの山と化し、本人は何年も前に失踪していた。
ある家族は、43才の息子とその両親の家族だったが、市の調査員が訪ねると3人ともすでに亡くなっていた。
調べると両親は2ヶ月まえに、そして息子は1週間前に、死因は餓死。
43才なんて、普通に暮らしていたら、結婚して働き盛りで子供の1人や2人いてもおかしくないはず。
20年も前から引きこもりになり、社会的から孤立した生活を送っていた家族。
地域包括センターが何度も家族を訪れる、生活支援をしたいと申しでたが、頑なに拒否され、それっきりだったという。
年老いた奥さんが道端で歩けなくなり座りこんでいると旦那さんが「何をやってるんだ!」と怒鳴り散らしていたという。
お母さんと息子さんは、なんとか支援を受けたいと、別の部署に助けを求めていたが、それ以上、話しは進まなかったようだ。
日本は経済的にも豊かな国の筈なのに、こんな社会で起こっている現実は、豊かさとはほど遠い寂寥感が渦巻いている。
結婚しても、いろんな理由で離婚を選択せざるを得なくなったり、家族として暮らしていても、何らかの理由で崩壊したり、引きこもりや断絶、心は互いに寄り添うことなく家族という名を借りた形だけの集まりだったり・・・。
テレビを見ていて、ふと、昔、家族だった兄のことが思い出されて、心配になった。
兄は母の葬儀にも姿を現さなかった。
結婚して私が家を出て数十年の間に、少しずつの歪みが広がり、ひび割れ、壊れていったのか・・・もう何もわからない。
1年に1度、誕生日に近況を知らせるカードを送っている。宛て先不明で戻ってこないと、取りあえずそこに住み、暮らしている様子が伝わり安心する。
外国人の奥さんと一緒に暮らしているかどうかもわからない。独りで暮らしているかも知れない。
本当に親しくなった人以外は喋ることも億劫で苦手だった兄。
お姑さんだって、去年なんとかヘルパーさんを決めて家をたずねてもらうまでこぎ着けたが、そうでなければ、他人が入ってくるのを嫌った母が、片付けもできなくなり、お風呂も入らず、家がゴミ屋敷となるまでに時間は要さなかっただろう。
人間関係が希薄になっている今、誰にでも起こりうるセルフネグレクト、今一度、自分の周りの人達のことに目を向けて、寄り添ってみよう。
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